はじめに
「全ての人に、挑戦の機会を。」を掲げスタートアップ企業や大企業問わず"0→1のアプリ開発やサイト制作"を中心に展開しているフリーランスエンジニアチーム『ispec(アイスペック) inc.』のCIの制作について、どんなことをしたのか、背景とプロセスをご紹介します。
 1-1.CI リニューアル全体の流れ
ispec inc.とは...
2017年12月15日に設立されたispec inc.は、スタートアップ企業の案件を中心に受託開発事業やコンサルティング事業を行なっているスタートアップ企業です。
受託開発事業を通して、取引先の会社が何を求めているかをヒアリングし、作りたいサービスのサポートをしています。 
受託開発事業では、WEBアプリケーション開発やEC・LPサイト作成、業務アプリケーションの開発などを行なっています。
コンサルティング事業では、ispecがスタートアップ時期を経験したという事もあり、取引先がどのような事業をやりたいのかヒアリングし、サービスの課題などを洗い出し、コンサルティングしています。
 1-2.CI リニューアルの背景
 ispecは「全ての人に、挑戦の機会を。」を理念に事業を行っており、CEO島野の「関わる人を幸せにしたい」という思いを伝えられるようなCIを
制作したいと依頼を受けました。
 1-3.CI リニューアルの目的
ispecがスタートアップ企業の案件を中心に受託開発事業やコンサルティング事業を行なっていることから従来のロゴでは伝えきれないispecのストーリーを伝えられるロゴにしたい、とのことでした。
 1-4.CI リニューアルの概要
 ロゴ自体の制作期間は2週間でしたが、コンセプト設計は3月末ごろから開始し、約1ヶ月半かけて大まかなロゴの方向性とシンボルなしロゴタイプのみの制作を決定しました。
基本的にロゴのデザインをするときはコンセプト自体の異なる複数案を提案させていただいていますが、今回はロゴの方向性が決まってからの制作となったため、全くコンセプトの違う案は出さないことになり、方向性は同じだが微妙に違う6案を提案させていただくことになりました。

2.ストーリーを聞く
  島野や社員へのインタビューを通して、社員一人ひとりのストーリー、そしてispecのストーリーが見えてきました。
 2-1.ispecで世界を変えたい話
 2-2.ispec創業者のispecへの愛を語る話
 2-3.ispec創業時のドタバタ話
  (前略)当時東北に住んでいたCOOの堀を、ハイエースを借りて迎えに行き、荷物ごと本人を東京に連れてきた。優秀かどうかも大事だけど、それよりも彼に人として惚れ込んだ。(後略)
かなり長いので今回は割愛します。ご興味のある方はispec inc.のWantedlyをご覧ください。
3.言語化と方向性の提案
  島野や社員へのインタビューを通して見えてきたispecのストーリーを言語化していきました。
 3-1.インタビューの中で見えてきたこと
クライアントである起業家に「信頼」や「安心」を届けたい
CEOの島野が初めて起業した時は、本当に孤独で不安だった経験があり、他の起業家だって同じはずだと考えている。「あ、俺この人と一緒なら成功できるかも」「この人と一緒にいて落ち着いて物事を進められるという安心を提供したい」と思ってもらいたい。
ispecの「公平さ」や「フラットさ」を伝えたい
「公平さ」「フラットさ」を大切にしていて、上司でも部下でも関係なく意見を言い合える環境作りをしている。お互いの価値観を認め合い意見が言いやすいフラットな環境づくりをしていて、業務がスムーズに進む仕組みを整えており、ispecらしいと言える社風がある。
「クオリティの高さ」や「最新技術を追求」し続けたい
ispecでは、GoやAngularなどといったモダンな言語やフレームワークを使用することにより、スピード感のある開発を得意としている。
また、社員一人一人が技術に対して常にアンテナを張っている事で、最新の情報をキャッチし、SlackやScrapboxにそれぞれが学んだ内容をまとめ、共有して会社全体の技術力向上に努めている。
常に最新技術を取り入れより良いアウトプットを出せるよう日々努力する姿勢や
、クオリティの高さを追求する姿勢そのものがispecらしいと言える。
④ispecの「若さ」や「青春感」を感じてもらいたい
ispecは年齢層も若く、スタートアップ特有の「青春感」をクライアントと共有したい。
そんなispecを体現できるCIを制作していくこととなりました。
4.デザイン候補の案出し
 4-1.ロゴの方向性
 ロゴの方向性はispec CCOの堀さんと詰めていきました。上記の言語化に基づいて、ロゴの方向性を決定しました。
webフォントがあるもので、サンセリフで太め、eやcが円に近い幾何学的なフォントを選定することになりました。
そこで候補に挙げたのが以下の6フォントでした。
  ・Platform
  ・Gilroy
  ・TT Commons
  ・Eina
  ・Larsseit
  ・FF Mark
それぞれのフォントを「ispecと合っているか」という点において比較しやすいように、10の評価項目を設けました。最初は5段階などで定量評価しようかと思いましたが、なにせ項目が多いのと主観がかなり入ってしまいそうだったので、0/1の評価とすることにしました。
  4-2.各フォントの検討
 候補に挙げた6つのフォントに関して、歴史背景やフォントデザイナー、各フォントの解説サイトや使用例などを調査し、各評価項目を0/1で評価をつけていきました。


5.デザイン候補から絞る
 5-4.最終案の選定
 最終案はCEO島野だけでなく、ispecメンバーに見てもらい、どのロゴなら愛着を感じるか、自分たちのものだと思えるかを議論した結果、Gilroyを使用することになりました。
ただ、Gilroyそのままでは、ispecの "s" が i と p に挟まれてしまっている印象があり、「公平性」の印象と違ってしまったため、sのみ作字することにしました。
 GilroyはRadomir Tinkovさんのデザインで、安定感のある幾何学的なフォントです。Cのとんがり具合が可愛くて、ispecの前進感があっている感じがしました。
 ※図にはGilroy Sansと表記してしまっていますが、正式にはGilroyです。
6.最終候補のブラッシュアップ
 6-1.最終候補に決めた理由
 Gilroyは、候補に挙げた幾何学フォントの中でも特に円形に近く、ispecが大切にしている "個の力" も感じられると考えたからです。
  ”社員一人一人が自分で考えて行動し、
  効率的な業務をすることができるので、独立しても通用する(中略)人材”
  参照元:Wantedly 株式会社ispec ホーム-価値観

 6-2.字形の調整
 "s" が i と p に挟まれてしまっている印象を緩和するため、幾何学フォントの中でも特に安定感があったFF Markの "s" を参考に作字を行いました。
 6-3.カーニング
 ispecメンバーの結束感の強さを表現したく、カーニングはあえて狭めに調整しました。
 6-4.カラー
 従来のロゴよりも色を濃く、少し青を混ぜた黒にしました。
青を混ぜたのは、ispecの「スピード感のある開発」「クオリティの高さ」そして「若さ」を表現したかったからです。
また、営業資料などで多用することから、クライアント様のどんなコーポレートカラーにも違和感なく寄り添える黒にしました。
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